座標塾第14期講座(2018年3月~11月)開講

座標塾第14期講座 2018年3月~11月
第1回 リベラルとは何か
2018年3月9日(金) 白川真澄

第2回 ポスト・グローバル化の政治
2018年5月18日(金) 大井赤亥

第3回 税と社会保障、ベーシック・インカム
2018年7月20日(金) 白川真澄

第4回 リーマン・ショックから10年――資本主義はどう変わったか
2018年9月14日(金) 白川真澄

第5回 9条加憲論を批判する
2018年11月16日(金) 白川真澄

◆午後6時30分開始~9時終了
◆講師(第2回):大井赤亥(日本学術振興会特別研究員)
(第1,3,4,5回):白川真澄(ピープルズ・プラン研究所)
◆講義レジュメを使用します。
◆今期は隔月1回(第2もしくは第3金曜日)の5回で1期間とします。

◎会場 文京シビックセンター(後楽園駅・春日駅・水道橋駅;2回目以降は予定)
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html

◎参加費 第14期(5回)通し 4000円(テオリア会員2500円)
1回ずつの場合   1000円(テオリア会員500円)
※申込みは3月1日までに下記へ。(1回だけでも参加可能ですが、期限後は申込できない場合もあります。詳しくは問い合わせください)

◎ 連絡・申込先
連絡先 東京都千代田区内神田1-17-12勝文社第二ビル101研究所テオリア
TEL・FAX 03-6273-7233
email@theoria.info

講師プロフィール
白川真澄
しらかわますみ。1942年生まれ。60年安保闘争、ベトナム反戦、三里塚闘争などの社会運動に関わりつづけ、90年代からは「地域から政治を変える」ことを追求。フォーラム90s、ピープルズ・プラン研究所など理論活動のネットワークづくりにも力を注いできた。著書に『左翼は再生できるか』(研究所テオリア)『脱成長を豊かに生きる-ポスト3・11の社会運動』(社会評論社)『脱国家の政治学』(社会評論社)『どこが問題!郵政民営化』(樹花舎)『格差社会から公正と連帯へ 市民のための社会理論入門』(工人社)『格差社会を撃つ ネオ・リベにさよならを』(インパクト出版会)『金融危機が人々を襲う』(樹花舎)ほか。

大井赤亥
おおいあかい。1980年生まれ。日本学術振興会特別研究員、東京大学・昭和女子大学非常勤講師。政治学・政治思想史。論文に「H・ラスキの見た1930年代アメリカのニューディール―『マルクス主義者』によるリーダーシップ論」(『政治思想研究』、風行社、2015年)、「原爆投下をめぐる『必然性』と『自由』」(『現代思想』、青土社、2016年8月号)、『運動を掴む政治学のために 熟議・左派ポピュリズム・「戦後民主主義」』(『現代思想』臨時増刊「安保法案を問う」青土社、2015年10月)、共著に『戦後思想の再審判』(法律文化社、2015年)など。

座標塾第14期のご案内

第1回
リベラルとは何か
2018年3月9日(金) 講師・白川真澄(ピープルズ・プラン研究所)
文京シビックセンター

安倍一強政治が続く厳しい状況のなかで、これに対抗できる野党勢力の再生が切実に問われている。それが、市民の運動に後押しされたリベラル・左翼の連合という姿をとるという点については、大きな合意が成り立っている。
しかし、そもそもリベラルとは何か。総選挙における立憲民主党の躍進もあって、リベラルについての議論が活発になっている。一方では、リベラルは伝統的な「革新」勢力や社会民主主義の潮流の新しいバージョン(看板の掛け替え)であるという見方がある。他方では、リベラルは保守とは矛盾せず、従来の「左と右」の対立を超えるものだという主張もある。政治思想としてのリベラリズムもそうだが、政治勢力としてのリベラルほど人によって定義が異なったり、曖昧な用いられ方がされる概念はない、と言ってもよい。
リベラルは、どれほどの政治的対抗力を発揮できるのか。左翼の独自の潮流がなくてもリベラルだけでよいのか。リベラルとは何かを論じることを通して、新しい対抗的な政治価値と政治勢力の創出を探っていきたい。
[参考テキスト]白川真澄『左翼は再生できるか』(2016年、研究所テオリア)。

第2回
ポスト・グローバル化の政治
2018年5月18日(金) 講師・大井赤亥
文京シビックセンター(予定)

グローバル化は誰も止められない不可逆的な歴史の流れだと思い込まれてきたが、ここ数年、この流れを逆転させるような出来事が次々に登場した。それは、移民・難民の排斥や自由貿易反対を掲げる右翼ポピュリズムの台頭として耳目を集めている。それが人びとの予想外の支持を得ているのは、決定権をグローバル資本と政治エリートの手から取り戻したいという願望を表現しているからにほかならない。
それでは、この右翼ポピュリズムに、何をもって対抗するのか。社会民主主義やリベラルの潮流がグローバル化と新自由主義を推進する中道左派に変質したことに抗して、ラディカルな左翼を再生する試みも現われてきた。サンダースやコービン(イギリス労働党左派)を支持する潮流やポデモスなどの新政党が、その可能性を垣間見せる。とはいえ、巨大格差をもたらす経済のグローバル化に異議を唱えつつ、人権の視点から移民・難民を受け入れる「ヒトのグローバル化」を進めるという左翼の立ち位置は、いくつかの困難を抱えるだろう。
ポスト・グローバル化の時代における政治的対抗関係を考えてみたい。
[参考テキスト]『季刊ピープルズ・プラン』第79号(大井赤亥編集)

第3回
税と社会保障、ベーシック・インカム
2018年7月20日(金) 講師・白川真澄
文京シビックセンター(予定)

人びとにとって最大の不安の1つは、社会保障が将来的に財源の面から維持できなくなるのではないかという不安である。2025年には団塊の世代が加わって、後期高齢者は2000万人を突破する。医療や介護の費用が急激に膨らむ一方で、現役世代は減り続けその負担はいっそう重くなる。しかし、安倍政権は「全世代型」社会保障への転換を謳いながら、肝心の財源を経済成長による税収増に求めるだけである。政権維持だけを目的にする発想に憑りつかれて、2020年以降の中長期的な経済・社会のビジョンを提示できない。求められるのは、公正な増税による社会保障の拡充である。
そして、その重要な仕組みとしてベーシック・インカムの導入が、あらためて議論になっている。AIの急速な普及によって人間の労働が置き換えられていく将来社会において、ベーシック・インカムが最低所得保障の役割を果たすと期待されるからである。
税と社会保障の問題を、人びとが熟議できるようになるために、その基本的な原理と仕組みから学ぶ。

第4回
リーマン・ショックから10年――資本主義はどう変わったか
2018年9月14日 講師・白川真澄
文京シビックセンター(予定)

2008年9月、世界を震撼させたリーマン・ショックが勃発した。住宅バブルの崩壊で金融商品が紙クズと化したことを引き金にしてお金の流れが突如として全面ストップし、それによって輸出の激減に伴う生産の縮小、労働者の大量解雇が起こった。各国政府は巨額の資金を投入して、金融機関と大企業の救済に乗り出した。それから10年、景気拡大が長期間にわたって続き、物価上昇は緩やかだが株価の上昇と企業利益の増大、雇用の改善が見られる。世界経済は「低インフレ」のまま安定と成長を取り戻しつつあるかに見える。日本も同じく、インフレ目標2%の達成と景気回復の実感にはほど遠いが、失業率の改善、企業利益の急増、株価の上昇と、経済指標だけは好転している。
しかし、世界経済のいたるところで格差が拡大し、政府の債務残高は膨らみ、中央銀行の資産が増えすぎて大量のマネーが溢れている。リスクを抱えた資本主義は、再びバブルの破裂に見舞われないのだろうか。資本主義とアベノミクスの現状と行方を明らかにする。
[参考テキスト]宮崎礼二/白川真澄:テオリア論集6『トランポノミクス・資本主義を問う』(2017年、研究所テオリア)

第5回
9条加憲論を批判する
2018年11月16日(金) 講師・白川真澄
文京シビックセンター(予定)

安倍首相の「2020年までの改憲」という野望が、いよいよ表舞台に姿を現わしつつある。そのために、安倍首相は、憲法第9条の第1項と第2項を残したまま自衛隊の存在を明記した第3項を加えるという改憲案を提案している。この自衛隊は、安保法制によって集団的自衛権の行使ができるようになった自衛隊であるから、集団的自衛権の行使まで容認するという9条加憲論である。これに対して、自衛隊の役割が個別的自衛権の行使、つまり「専守防衛」に限られることを第9条に明記することで対抗する、という対案(新9条論)も出されている。自衛隊の役割と軍事力の行使がズルズルと拡張されることに立憲主義の立場から歯止めをかけるという改憲論である。
しかし、9条に個別的自衛権の容認を明記することによって、安倍首相の9条加憲論に対抗できるだろうか。専守防衛に敵基地への先制攻撃も含まれるという議論が示すように、自衛権は融通無碍な概念であり、何でも入るのではないか。9条加憲論への賛成は39%と、反対の27%を上回っている(「朝日新聞と東大谷口研究室」の調査、17年12月)。
憲法9条の絶対平和主義の理念の意味と具体的なリアリティを再定位したい。