座標塾第1回「「新しい資本主義」の何が新しいのか」を開講

座標塾第1回「「新しい資本主義」の何が新しいのか」を開講

3月18日、座標塾第18期第1回「「新しい資本主義」の何が新しいのか」(白川真澄)を行いました。
白川さんは講演で、岸田政権は「新しい資本主義」と出してきた。新自由主義による資本主義の弊害が顕著になってきたから。岸田は、「新しい資本主義」を資本主義の弊害を是正する仕組みを埋め込み、資本主義の便益を最大化する。中国の挑戦に対応する資本主義のバージョンアップと位置付けている。
そこには格差と貧困の拡大、気候危機の深刻化による資本主義の危機と自己修正という認識がある。
コロナ・ショックで資本主義はデジタル資本主義への急速に転換。株主資本主義から「ステークホルダー資本主義」への転換が進んでいる。
岸田流「新しい資本主義」は、ステークホルダー資本主義、デジタル資本主義をめざしている。
「新しい資本主義」を「新自由主義の継続」と見るのはまったく的外れ。
「新しい資本主義」の「成長戦略」では「デジタル田園都市国家構想」、「経済安全保障」などを打ち出している。
また、「新しい資本主義」の「分配戦略」の柱のひとつは「所得の向上につながる賃上げ」。だが、「分配戦略」の中身はあまりにも貧弱。賃上げ税制は効力がない。
賃上げの実現には必要なのは、1)同一労働同一賃金2)最低賃金時給1500円へ引き上げ3)医療・介護・保育などのエッセンシャルワーカー賃金の抜本的引き上げ。
結局、《税と社会保障を通じる所得再分配》はスルーで金融所得課税の強化、法人税の強化(税率の再引き上げ、政策減税の縮小)は行われない。
「成長か分配か」論争で、岸田首相のスタンスは揺れて、「まず成長」というアベノミクスの原点にまで逆戻りした。
《経済成長やデフレ脱却がなければ賃金は上がらない》という幻想が強いが、日本経済は賃金が上がらないからデフレから抜け出せない。
日本は経済成長なき時代になった。
「新しい資本主義」に対する3つの対案は、「分配なくして成長なし」、グリーン成長、脱成長。
「分配なくして成長なし」路線と脱成長路線とは、協力・共闘と競合・対立の関係にある。
経済成長しなくても本格的な分配政策を政府や企業に実行させる点で協力・共闘の関係。
一方、「分配なくして」路線は、個人消費支出が拡大すればよいと消費の質を問わない。脱成長路線は浪費や環境破壊につながる消費を抑制、新しい生活様式へ。所得増大を税負担引き上げによる共同消費(ケアやコモンの利用)の拡大に誘導する。

後半の質疑応答では、岸田がグリーン資本主義に行くことはあるのか。脱資本主義のイメージは?コモン主義はコミュニズムか。脱成長を徹底すれば資本主義を超えられるのか。ベーシックインカムについて。今年の参院選などについての質問、意見が。

講演内容は新聞テオリア6月号に掲載予定。
次回第2回は5月20日「ポストコロナ時代の政治の構図と課題」。
講師は大井赤亥さん(政治思想史・現代日本政治)。

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