「あなたは一人ではない」 コロナ禍に府中こまりごと相談会(新聞テオリア第93号・2020年6月10日)

新聞テオリア第93号・2020年6月10日
「あなたは一人ではない」
コロナ禍に府中こまりごと相談会
前川浩子(東京都府中市議会議員)

相談会開催へ

府中緊急派遣村の松野村長が、「こまりごと相談会」を府中で開催する!と言い出したのが4月中旬。
打ち合わせのために自宅を出ようとした瞬間に、友人からの電話。「市民球場で寝ている人がいる」
松野村長と現場へ急行。その直後に、「市民プールの事務所脇に人がいる」。また松野村長とレスキューへ。このお二人の支援と共に、「こまりごと相談会」開催へ走り出した。これも「運命」か。
府中緊急派遣村はリーマンショックの後の2009年に設立され、日常的に困難の中にある人たちへの支援をしてきた。今回のコロナ禍に伴う困難への松野村長をはじめとする派遣村スタッフの危機感は高く、相談だけではなく具体的な支援に繋げることを目指した。辛さと共にある人の支援を続けている府中緊急派遣村であるからこその「こまりごと相談会開催」である。

各地からボランティア

4月20日に、松野村長が高野府中市長と面談。今やらなくてはならない事である、と賛同を得、市の後援も取り付け、動きが本格化。弁護士、議員、ボランティアへの呼びかけ、チラシ作成、無料ダイヤル、メール設定、会場、機材準備、書類作成、食材準備、プレス発表、記者会見・・・怒涛の日々が続いた。
派遣村の仲間達は、相談会に向けて連日準備。お菓子、クラッカーの詰め合わせ、表示作成、フェースシールドまで作った。来場者の人数の予想が全くつかない中、少しでも多くの人に支援が届くようにと願いながらの作業であった。
準備の内、最も大切なのは、感染予防。マスク、消毒スプレイ、飛沫防止シート、非接触型体温計、フェースシールド、看護師さんの手配。考えられる事は全て行った。当然、多人数が集まる相談会へは、批判も出るだろうが、困窮のレスキューへの使命感は強く、スタッフが揺るぐことは無かった。
当日4月28日朝、派遣村の仲間が早くから府中公園で設営。テントの骨組みに飛沫感染防止の為のビニールシートを張っていくがなかなか大変。相談のブースは距離をとり3か所。その他に、食材のブース。
市内はもとより各地から集まったボランティアスタッフ、弁護士のべ11人、看護師3人、市内外の自治体議員のべ24人。反貧困ネットワークの瀬戸さんも来場し、カンパ提供もあった。様々な人が集結し、相談会はスタートした。
賛同して下さった多くの方からのカンパがあった。今回の経費をまかない、次の活動へと進んでいけるだろう。

支援を求める声

今回、ボランティアに、府中市内で子ども食堂を主催する人達、子育て支援のボランティアが多く参加した事は特筆すべきことである。子供関係のネットワークに情報を流し、そこからの相談者も多数来場した。
どこに相談して良いか分からなかったというシングルペアレントが多く、子育て支援団体等へのサポートへ繋がった事は大きい。
受け付けには、ベテランの派遣村スタッフ。受付後にブースで待機する弁護士、議員等との面談相談。非正規の職を失った人。住むところを失った人。生活困窮に陥ったシングルマザーからの相談等が続いた。
フリーダイアル、メールでの相談にも対応できる体制は、支援を求める声が遠くからも届くこととなった。
相談では、やはりコロナの影響での失職、休職による生活困窮が多く、非正規で働く方々の不安定な状況が明確となった。じっくりと話しをし、制度に繋がる人、もう少し頑張る、という人、それぞれの人の意思を大切にしながら支援へと繋げていく。
二日間で54人の方の相談を受け、制度に繋がったのは4人。相談会の後、生活保護申請に同行支援。アパート転宅、その後の生活の立て直しの為の継続的なサポートをしている。また、シングルペアレントへは食材の配布を通し、支援を行っている。継続的に関わる中で、相談者が満面の笑顔を見せてくれる時がある。それは、その人のエンパワメントが成った時。その笑顔を目指して、共に歩んでいこう。
食材はキーポイントの一つ。「子供にご飯を食べさせてあげられない」という悲痛な声が以前より聞こえていた。派遣村の派生グループ「フレンドリー」は月2回のパン配布を行っている。食の大切さを鑑み、100人分準備した。青い袋にはお米、カレーのレトルト。ピンクの袋にはスパゲティ類、黄色の袋はクラッカーとクッキー。その他、市内のパン屋さんの焼きたてのパン計100袋。ほうれん草、バナナ、ミカン、パンの差し入れがあり、食材は豊かなものになった。
弁護士、議員等の相談後に食材ブースで待ち受けるオバちゃんボランティア。「これもあれも持って行って」「なにかあったら、連絡してね」等、食材を渡しながらの言葉かけは、安心感を生み出す効果があり、相談会後に、行って良かった、安心した、との声が届いている。

相談会は「狼煙」

相談会は「狼煙」、「きっかけ」。そこから始まる支援の輪を広げ、辛い想いをする人がいなくなるように、「あなたは一人ではない」を伝えたい。今こそ、共に歩もう。
二日間、会場内を走り回りながら見渡すと、そこここにソーシャルディスタンスをとりながら動いている仲間達がいる。頼もしい連帯の力。この非常時に共に立ち上がり、社会の変革を求める仲間達がいる。この連帯の輪から次の支援が生まれる。
5月29日、30日に、お隣の国立市で第二回「こまりごと相談会」が開催される。先行きが不透明であり、状況の悪化が予想される。各地で支援の狼煙が上がり、「あなたは一人ではない」のメッセージが届くことを祈る。 (5月22日)