19世紀から20世紀にかけて様々な大思想が繰り広げられ、「世界の問題は理論的には既に解きあかされた」と信じられて いた時期もありました。
しかし、20世紀末には未来への解答だったはずの社会主義諸国が崩壊。それは必ずしも資本主義の成功をもたらさず、今世紀に入ってテロや戦争、民族問題や環境問題、経済危機や格差など様々な問題が噴出し、社会主義に勝利したと喧伝されていた資本主義自体の行き詰まりもまたあらわになっています。私たちはいまも数多くの、いまだ解けていない思想や理論的な課題に直面しています。

3・11の震災とそれに続く原発の事故を経て、時代は大きく変容しようとしています。私たちの多くは、これまでも様々な民衆の闘いを担ってきました。時代の展開のスピードが一気にそして確実に加速される中で、私たちがこれまでの闘いの中で主張しかかげてきたことを、改めて振り返り検証しなおしてみることが、今こそ求められているのではないでしょうか。またその中で経験し知りえたこと、つかみ取ってきたこと等を人々に伝え共有し継承していく、という時代的・世代的な責任も負っているのではないでしょうか。

20世紀思想の大きな指標となったマルクス主義は、貨幣の「物神性」を解明することには成功しましたが、一方で近代や進歩、科学技術の「物神性」はあばき出せないままに来ました。それを突きつけるフェミニズムやエコロジーなどを始めとする新しい思想も芽生えています。この研究所では、それらを豊かに展開していく作業に取り組みたいと思います。
また、新たに立ち上がろうとしている環境政党は「社会的公正と循環型社会」という二つのテーゼを掲げていますが、それらのテーゼのはらむ意味や両者の関係等をさらに深く考察していくという課題も私たちのめざすものです。

この研究所は、学習会、講座「座標塾」、スタディツアーなどの企画、また新聞やブックレットなどの出版活動を当面は担うことになります。思想や理論分野に限定されたささやかなものかもしれません。
しかし、これまでの民衆闘争の歴史は、常に時代を切り開く理論や思想と共にあったことを思い起こすならば、これもまたとても重要な領域です。この研究所も微力ながらその一翼をになうことをめざしたいと思います。
多くの皆さんの参加を呼びかけます。

研究所テオリア運営委員会   2012年 9月