講演会「クルド人差別と私たち」開催

2月15日、国連・憲法問題研究会講演会「クルド人差別と私たち」を開催。講師は温井立央さん(「在日クルド人と共に(HEVAL)」)。
温井さんは、「川口市のトルコ国籍者(多くはクルド人)は全人口の0.2%に過ぎない。日本の難民認定率は極めて低く、中でもトルコ国籍のクルド人の難民認定は22年までゼロだった。今なお多くのクルド人は難民認定されていない。
日本の入管収容施設では死亡事件、入管職員による暴行が起き、国を訴えた損害賠償訴訟で暴行されたクルド人男性が東京地裁「一部勝訴」判決を勝ち取った。
仮放免の外国人は、在留資格のないままで拘束されてないが、就労禁止、移動制限、国民健康保険に加入できず、住民票も作成されず、生活保護の受給資格もない。いつ収容、強制送還されるかわからないという状況。

09年、フィリピン国籍女子中学生に対し、在特会が行ったのが初のヘイトデモ。京都朝鮮第一初級学校襲撃、中国人に対する排外デモなどが続き、16年5月ヘイトスピーチ解消法成立。蕨市・川口市でのヘイトデモは一時的に減った。
23年6月9日、改定入管法が成立。その前後から主にネット上で埼玉県川口市、蕨市で暮らしているクルド人たちに対する差別的な書き込みが異常なまでに膨れ上がった。
同年6月29日、川口市議会は「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」を採択。この意見書の採択がヘイトスピーチを誘発した。
犯罪の取り締まりにおいて国籍や民族を関連づけることは、差別と偏見を助長するだけ。
入管法改定案審議の中でクルド人に注目が集まり、ことさらにクルド人が標的にされるようになった。

23年5月以降、当会にも誹謗中傷の手紙・メールや電話によるヘイトスピーチが数多く届くようになった。
24年11月さいたま地裁は在日クルド人へのヘイトデモを半径600mの範囲で禁止する仮処分を決定。しかし24日には別の団体がヘイトの街宣を行った。
ヘイトスピーチの拡散により、クルド人の盗撮や殺害予告が増えている。行政が責任をもってヘイト対策をとるべき。
クルド人にとって最も重要なお祭りであるネウロズは、トルコでは禁止され、日本では2000年代初めから開催。しかし、24年1月に公園の使用予約を行政が拒否。日本クルド文化協会と当会は差別的対応に抗議。撤回を受け、3月20日ネウロズを無事開催。さいたま市教委によるクルド人児童の小学校除籍の撤回を求め、報道された日に撤回された。
「在日クルド人と共に」は日本の難民認定制度や入国管理制度の抜本的見直しを訴えると同時に、ともに社会をつくるために、①日本語教室②医療相談③相互理解イベントを行い、共に生きていく」

後半は質疑応答が行われ、クルド人が川口市に住むようになったきっかけ、産経記事の問題性、入管制度の問題、仮処分の限界、クルド人ヘイトの原因、他県の友人が「川口が大変」というデマをうのみにしていること、殺害脅迫メールを送ってきて告訴・摘発されて謝罪に来た「脅迫犯」が社員証を首から下げた普通の会社員だったこと、日本の入管制度・入管庁の非人道性、ヘイトに対する罰則・ヘイト対策条例の必要性など様々な質問・意見が出された。