座標塾第3回「気候危機とどうたたかうか」開講

7月19日、座標塾第3回「気候危機とどうたたかうか」が開かれた。講師は吉田明子さん(国際環境NGO FoE Japan)。
 
 吉田さんは「福島原発事故から13年。福島ミエルカプロジェクトなどに取り組んできた。
 世界各地で気候災害が顕在化し、世界、日本で若者たちが声を上げている。彼らは気候正義を求めている。上位10%の富裕層がCO2の半分を排出している格差がある。
 日本の気候・エネルギー政策には問題がある。パリ協定で脱炭素への世界的転換が行われた。
 だが、日本はいまだに原子力・化石燃料重視。2014年の第4次エネルギー基本計画以降のエネルギー基本政策議論では、福島事故後に出された「2030年代原発ゼロ」は無視されている。
 岸田政権はGX基本方針(2023年2月)を決定したが、日本の気候・エネルギー政策の課題はいまだに原子力・化石燃料重視、先進国として不十分な削減目標。
 5月9日、原子力市民委員会などで政府に、現在のエネルギー・気候変動をめぐる状況に合わせたエネルギー基本政策分科会の委員構成を求める要請書を共同提出した。
 第6次エネルギー基本計画(21年)の「2050年カーボンニュートラル、2030年CO246%削減」の目標は先進国として不十分。
 同基本計画は「あらゆる選択肢を追求」「原子力は必要な規模を持続的に活用」としているが、原発推進の明確化であり、省エネ・再エネに集中すべき。
 岸田政権はGX基本方針で「原子力はエネルギー基本計画を踏まえて活用」として、40年運転ルール削除、60年超運転容認、次世代革新炉によるリプレースを打ち出した。
 基本計画は電源20~22%は原子力とするが。今の原発は問題ある原発ばかり。日本で稼働している原発は36基中12基。40年を越えて運転しても、2050年、60年には運転できる原発はなくなる。
 石炭火力発電については、「全廃」の議論はなく、「高効率」のものは使い続ける方針。
 12年以降、日本各地で石炭火力50基が計画され、32基が運転開始。JERA横須賀石炭火力が昨年稼働を開始した。日本政府は水素、アンモニアと混焼するゼロミッション火力で火力を続けようとしている。
だが、水素とアンモニアはブルネイ・オーストラリア・アメリからの輸入。生産時、タンカー輸送時にCO2を排出する。全く脱炭素ではない。矛盾とムダに満ちたゼロミッション政策。
再エネ割合はようやく2割以上。電力システム改革で電力自由化など再エネ促進政策がとられてきたが、エネルギー基本計画で原発の「事業環境整備」という逆行が起こっている。
 まずは最大限書エネを。
 再エネ・省エネの新電力に立ちはだかるのは大手電力の巻き返し、制度、再エネ調達、消費者の心という4つの壁。
 地域から市民からできることは何か。
 パワーシフト・キャンペーンに取り組んでいる。エネルギー構造も民主化。地域分散・地域主体へ。持続可能な再エネにシフト。原発・化石燃料から脱却。市民の選択をパワーにとキャンペーンしている
私たちができることは、国の政策、企業に声を届ける。地域の政策に注目し参加してみる。伝えることでみんなのアクションに。買い物は投票。
2030年までに世界で再エネを3倍、省エネ改善率を2倍に。気候危機の時代、早急に省エネ・再エネへ」

後半は参加者との間で質疑応答が行われた。
次回は第4回「グローバルサウスの現在――フィリピンを例に」。大橋成子さん(ピープルズ・プラン研究所)。9月27日(金)。