6月29日横堀農業研修センター裁判判決報告横堀現地集会・デモ
6月29日、横堀農業研修センター裁判判決報告横堀現地集会・デモが行われた。主催は同裁判を支える会。壁画が置かれた研修センター中庭で行われ、36人が参加。
オープニングでは高橋悦雄さんが「成田空港粉砕」などを歌った。
集会は山崎宏さん(事務局)の司会で、山下一夫さん(事務局)が6月16日の千葉地裁判決を批判。「判決は、強制収用と民事訴訟による土地取上は違うとでっち上げた。全面的価格賠償方式=強制買収の要件の一つは『共有者間の実質的公平を害しないこと』。空港会社の一方的な手紙と提訴は実質的公平を害している。空港会社の土地取上の主張は権利の濫用で、信義則違反。
判決は、訴訟外に任意の協議が開始されて紛争解決が期待できる状況に程遠いから空港会社の強制買収の訴えを認めるとなっている。判決は『協議が尽くされてない』と認めているのだから、もっと『協議』せよというのが論理的帰結ではないか。
判決は緊急性がない誘導路計画を擁護している。だが、この間の報道で予定地の民有地の確保率は3月末で74%にとどまる。不合理な計画をでっちあげているにすぎない。予定地に木の根ペンション、横堀鉄塔がある限り、ワンターミナル構想は実現できない。
機能強化計画の進め方は憲法に違反していると批判していきたい。
判決でも協議が十分でないことは認めている。シンポ・円卓会議の約束という信義則違反についはもっと言っていく必要がある」
鈴村多賀志さん(田んぼくらぶ)は「判決は、シンポ・円卓会議の結論である滑走路建設で『あらゆる意味で強制的手段をとらない』と最初は書いている。それが途中の16頁から『あらゆる意味で』の7文字が消えている。こういう形でシンポ円卓会議の結果を否定していく手法がとられている。
裁判で空港会社は被告と話をしたのかの立証を求めると、空港会社はホームページの共生の箇所を丸ごと出してきて、関係ない箇所が多く証拠採用されなかった。
被告は、成田の4者協議会(国・県・周辺自治体・空港会社)に住民は参加できないと反論したが。共生について証拠採用されたかったこともあり、4者協議会の中身についての審理は一審では行われなかった。
判決では、空港拡張計画について何の審理もされないまま、4者協議会で合意されているからとなってしまった。これらが控訴審の課題だ」
平野靖識さん(三里塚歴史考証室)は「判決は腹立たしく残念だった。円卓会議での隅谷調査団最終所見の『今後あらゆる意味での強制的手段はとらない』は、今後は住民とは話し合いでという前提があって出された。
しかし、強制的手段とは土地収用法の行政代執行だけだという矮小化が市東裁判やこの裁判で行われてきた。
このような歴史修正主義に対して、真実はこうだと言い続けていく必要がある。
4者協議会が空港のつくり方について何でも決めている。歴史考証室としては4者協議会とは何かを考えて、批判していきたい。
あらゆる意味での強制的手段をとらないという約束は、事業認定20年で収用された地主の買受権がなくなるのだから、89年で事業認定は失効するはずという反対同盟の追及、論戦があって、事業認定取下げ、強制的手段はとらないとなった。話合いで解決と提案したのは旧運輸省。
円卓会議では空港建設計画の地域への公開が提起されたが。4者協は閉じられていて民主的でない。そこを批判していかないと。
シンポ・円卓会議の結論は闘いと犠牲と論戦で民衆が勝ち取った成果。研修センターは誘導路上にあるから必要だという論理は、共生の考え方とは相容れないと主張していく必要がある」
辻和夫さん(事務局)は「センターの資料を整理して、77年開所当時の状況が分かってきた。三里塚闘争に連帯する会と廃港要求宣言の会が労農合宿所を作りたいと反対同盟に申し入れて、名称に三里塚闘争連帯を入れるようにということで、三里塚闘争連帯労農合宿所になった。全国のいろんな人とつながろうと合宿所は設立された。
当時、共有地のある屋敷跡にプレハブを建て、機動隊に壊されないように、常駐者の伊達省二さんが電気もない中、泊っていた。
同5月6日に岩山鉄塔が倒され激しい衝突になるので、前日5日開所の記録がこれまで見つからなかった。5日はささやかな宴を行い、前田俊彦さん、戸村一作委員長らが歌ったり踊って開所を祝った。
その後、激しい実力闘争になるが、その中でも全国から援農のために合宿所に来て、海外からも人々が訪れた。その後も、わくわくツアー・田んぼくらぶなどいろんな人が使ってきた。
空港会社は党派の集まりで、反対運動のために利用しているにすぎない、一坪共有地などどうでもいいという扱い。だが、ここにはいろんな人の思いがこもっていて、それを忘れさせないために裁判を闘っていきたい」
壁画の原画を描いたおかのまめさんの父の岡野純一さんが発言。
猛暑の中、センター前から横堀公民館跡まで200メートルをデモ。不当判決弾劾!第3滑走路建設反対の声を上げた。
デモ後、歩いて横堀鉄塔・案山子亭へ。現地の状況を確認した。
