山田朗講演会「「昭和100年」と戦後80年--歪曲される現代史」を開講

7月26日、講演会「「昭和100年」と戦後80年--歪曲される現代史」を開講。講師は山田朗さん(日本近現代史)。
山田さんは講演で「「昭和100年」という歴史認識は天皇の在位によって歴史を区切るという天皇制による「心の支配」。1928年昭和戊辰、1968年「明治100年」、2018年「明治150年」という悪例がある。「昭和」に至る戦争の前提、植民地支配との関係性が見えなくなる。
「戦後80年」という歴史認識で留意すべき点はアジア・中東・アフリカ諸国民にとっては「戦後」ではないこと。
今年は日清戦争=台湾支配130年、日露戦争=朝鮮支配120年、対華21ヵ条110年、治安維持法100年でもある。
近代日本の膨張主義は、1870年代からロシア脅威論にもとづいて始まった。
日清・日露戦争は「成功事例」とみなされた。大国意識が拡大し北進・膨張路線が定着していく。日露戦争は毎年回顧される。日本による1910年韓国併合は満州進出への足掛かりとなった。国内では同年の大逆事件で反体制派への大弾圧が行われた。
朝鮮では植民地戦争、日本の支配強化にたいする朝鮮民衆の抵抗と武力弾圧が行われた。日露戦争・韓国併合・大逆事件を一体のものとして把握する歴史認識が必要。戦争が植民地支配を生む。植民地支配が更なる膨張・戦争を生む。戦争と植民地支配が本国での弾圧と言論抑圧を生む。このように。植民地支配と暴力・戦争(加害)の連鎖・循環が起こる。
3.1独立運動は日本国内では「暴動」と報じられた。間島事件(1920年)の頃から国内新聞では独立運動家を「不逞鮮人」と呼称。
1923年関東大震災虐殺事件では「内敵」とみなされた朝鮮人・社会主義者たちが虐殺された。
国内暴力が対外暴力・戦争へ連鎖し、日本は力による現状変更(「満蒙」の占領)を企図した。国内では治安維持法(1925制定)の最高刑が死刑となり、「内敵」である共産党員が弾圧された。
満州事変・日中戦争・アジア太平洋戦争は連続性がある。日本は侵略・戦争体制強化のために朝鮮・台湾など植民地を戦争動員体制へ組み込み、中国・南方占領地における膨大な搾取と弾圧を強化した。
日本の敗戦後も、戦争と植民地支配の後始末は未済。戦争・植民地問題(加害の原点)を忘却し、とりわけ植民地問題と日中戦争への直視を回避した。
まとめると、植民地における支配・暴力は、それを正当化する価値観、独立運動を敵視する価値観が本国に伝播する。
「大国」=「一等国」を維持しようとする価値観は「内敵」排除の論理を増幅させる。それが力による現状変更を容認する価値観を増幅させ、戦争と国内におけるテロリズムの横行を民衆が一定程度支持するという構造になる。
「昭和100年」は、戦争・支配・暴力の連鎖が進行する危険性がある。戦争準備としての軍備拡張が突破口になり、軍備拡張・「防諜」は社会の雰囲気をかえ、対外認識の「誤認知」を拡大する」

後半の質疑応答では、戦後50年当時の市民運動と現在、自由民権運動・大正デモクラシー・戦後民主主義を連続して捉える歴史観の評価、明治時代から日本は『日本人ファースト』だったこと、天皇機関説と立憲主義について等の質問・意見が出された。