座標塾「いま、MMT(現代貨幣理論)をどう考えるか」開講

11月19日、座標塾第17期第5回「いま、MMT(現代貨幣理論)をどう考えるか」を開講しました。講師は白川真澄さん。

講演では白川さんが、≪高いインフレにならない限り、財政赤字を恐れる必要はない。財政支出で完全雇用・経済成長を目指すべきだ。日本はMMTの正しさを実証する実例≫というMMTの政策的主張に対して、「公正な増税」こそ必要の立場から批判。
MMTが支持される理由として、新自由主義の「緊縮財政」路線の破綻、コロナ危機の勃発について述べた。
そして、異論派としてのMMTが不況・不完全雇用時の財政赤字容認というケインズ経済学の枠組みを継承する「ポスト・ケインジニアン」の立場から主流派経済学(ニューケインジニアン)を攻撃。財政赤字は有害とする考え方を標的にしている。
MMTの基本命題は、租税が通貨を動かす、政府支出の財源として税は必要ないということ。
ならば、なぜ課税を廃止しないかという問いへのMMTの答えは、貨幣を動かすために課税が必要というもの。
白川さんは、信用貨幣だけが貨幣の本質・起源だという見方は一面的。租税だけが通貨を動かすとは言えない。
そして、MMTでは何のために納税の義務を果たすかという国民の合意が成り立たない。
MMTの主張ではインフレを抑えるのが課税の重要な役割。
MMT派は、日本はMMTを実証する良い例で、財政赤字を恐れず政府支出拡大をと提言する。
しかし、政府の支出能力は無制限なのか。インフレを抑え込むことは簡単ではない。政府債務の膨張のリスクが顕在化しない秘密は、超低金利の継続にある。
低インフレが続けば、財政赤字を増やし続けてもいいのか。
インフレにならなくとも財政赤字を増やし続けると、過剰なマネーが株式市場に流入して資産格差を拡大する副作用を生む。
MMTの財政赤字拡大―民間の黒字=貯蓄増やす論は、民間の黒字=金融資産内部の格差を無視している。民間の黒字が増えても豊かになるのは一握りの富裕層だけと講演。

報告は新聞テオリア22年2月号に掲載予定。
第17期は終了で来春から第18期を開講予定。